華凜主宰の俳句
初心
鳥渡る天の奥より湧き出でて
残菊や名の読み取れぬ遊女塚
子規さんの好みの柿の甘さかな
浜風に篝火ゆれて神還
落葉道我が花道として一歩
楽屋出づ役者の素顔石蕗明り
祇王寺のさらなり紅葉かつ散りて
小春日や祇園にもらふ花名刺
俳諧はいつも初心よ真弓の実

雑詠 巻頭句
ひとすぢの朝霧が消ゆ天に向き
下橋潤子
雑詠 次巻頭句
滝音を出てこの世の音の中
久保田まり子
誌上句会 特選句
和田華凜主宰選
名月に向かひて祈るほかなかり
岩田雪枝
中谷まもる副主宰選
未知のことまだまだありて敬老日
川上康子
金田志津枝選
一行で終る日記を書き夜長
今井勝子
柳生清秀選
遠き日の畦の通ひ路銀蜻蜓
橋本笙子