華凜主宰の俳句
子の名あれこれ
秋晴を明日香に遊び使ひきる
色草のどちら向きても正面に
真弓の実嘘のつけない我ならむ
一稿を上げて式部の実を揺らす
水清き里に嫁ぎて貴船菊
生れ来る子の名あれこれ小鳥来る
戌の日に腹帯もらひ冬仕度
秋まつり子役は母の紅つけて
木の実降る日向日陰の音立てて
雑詠 巻頭句
旅情ふと月があまりにきれいから
谷川和子
句評 話をするように俳句を詠む作者。関西育ちの筆者の心には
「きれいから」という神戸弁が響いた。仲秋の名月の美しさに旅情が湧く。
華凜
雑詠 次巻頭句
また霧の迎へくれたる丹波行
有本美砂子
句評 この句を読み下した瞬間、丹波の山々を覆う霧の景が浮んだ。
筆者は丹波に住んでいたことがあり、この時期の霧の幻想的な雰囲気を
思い出した。「迎へくれたる」がよい。 華凜
誌上句会 特選句
和田華凜主宰選
子規佇ちし芋坂に佇ち十三夜
吉永友子
中谷まもる副主宰選
駅員の外す貼紙燕去ぬ
太田公子
金田志津枝選
のぼさんと呼れ親しき子規忌かな
柳生清秀
柳生清秀選
ねぶた師の妻が目を描き出来上る
梅田咲子