華凜主宰の俳句
銘仙の蝶
落ちてより夢のつづきを夏椿
対岸の稜線蒼し鑑真忌
銘仙の蝶の乱るる太宰の忌
羅の秘色でありて柳腰
老鶯や文士好みの隠れ宿
雨の夜の白暮れ残る半夏生
黒南風に乗り来コリアン通信船
悪人は青き隈取五月雨
蛍火や何故に心がさみしがる

雑詠 巻頭句
舌頭にまろく転がす新茶かな
柳生清秀
句評 今年もまた、生きて新茶をいただけたという幸せが伝わる。新茶の
瑞々しい香や、やさしい甘味を舌頭に転がしつつしみじみと味わう作者。 華凜
雑詠 次巻頭句
朝顔の葉に隈取りの団十郎
小林一美
句評 「団十郎」という歌舞伎役者の名をもつ朝顔はえび茶色の花を咲かせる。
俳人好みの朝顔だと思う。葉をよく見るとしっかりと隈取りの形があり驚いた。 華凜
誌上句会 特選句
古山丈司選
葉桜となりて吉野の静心
立花綾子
有本美砂子選
風薫る転校生につくあだ名
安野妙香
岩田雪枝選
麦秋の三鬼愛せし神戸の灯
安野妙香
下田育子選
大航海時代の地図へお風入
菅原くに子