華凜主宰の俳句
月の女人
冷やかや面の内より見る浮世
万葉のうたを携へ月の道
松風も水音も月の客として
良夜かな有馬の湯女の赤襷
湯浴みして月の女人となりしかな
妓の仕草真似ていただく月見酒
宴更けてますほの芒壺に足す
秋草のなべて王朝風なりし
江戸の世の旅は徒なり秋の風
雑詠 巻頭句
一葉落つ先の一葉を追ふやうに
古山丈司
句評 「一葉」を心で深く観て写生し、平明な言葉で句にされた。
天地自然の理と人生のそれとを重ねられた作品となっている。作者の
作風には魅力がある。 華凜
雑詠 次巻頭句
大花火しだれて黒き信濃川
中谷まもる
句評 一読「しだれて黒き信濃川」の措辞に心を奪われた。信濃の
真っ暗な夜を大花火が照らし、川へとしだれ落ちる。明と暗の対比。
刹那の美。 華凜
誌上句会 特選句
和田華凜主宰選
己が影見つめるばかり思ひ草
吉田るり
中谷まもる副主宰選
わが痛み探り当てたる竹婦人
藤垣幸子
金田志津枝選
九重より阿蘇の空へと天の川
岡田隆太郎
柳生清秀選
大根蒔く元校長の無精ひげ
蟻川美穂