華凜主宰の俳句
海の街
風花の美し海の街なればなほ
早梅に夜明けの前といふ香
深海の音を潜めて竜の玉
雪降りてうそのまこととなりにけり
初天神お師匠さんと会いにけり
寒紅をさす別れ告ぐその前に
束ねても香一本水仙花
息継ぎもできぬ恋文懸想文
路地に遊ぶや京風の寒すずめ
雑詠 巻頭句
寒柝の一打に星の瞬きぬ
足達晃子
句評 寒柝の音を通じて、冬の澄みきった夜空や冷たい空気感まで
伝わってくるよう。この句を見た瞬間、昔行った白川郷の星空を思い
出した。季題から季節全体へと広がる秀句。 華凜
雑詠 次巻頭句
顔見世にゆかねば京の人ならず
黒田泰子
句評 「京の人」に注目。最近京都に引っ越してきた人という訳ではなく、
百年、いや応仁の乱以前から続く家系を「京の人」というと聞いたことがある。
「顔見世」にゆかねば。 華凜
誌上句会 特選句
和田華凜主宰選
天心へ寒月固く上りけり
信貴 宏
中谷まもる副主宰選
来る人のなき元日の薄化粧
浅野宏子
金田志津枝選
色変へぬ松色変へぬ紀伊の石
中谷まもる
柳生清秀選
ペダル踏む顔に北風貼りつけて
宮下美和子