同行二人競詠五句 お題「時雨」

古山丈司

夢のあとさき

日々うすれ十一月の草のいろ

片しぐれ空に折目のあるやうな

老人の夢のあとさき片時雨

短日の手ばかり洗ひ暮れにけり

茶の花やふる里捨ててから久し

野村国世

京雀

足下を浅き小春の高瀬川

ぶぶ漬は酢茎にかぎる京雀

さながらにしぐれてをりぬ刀疵

すれちがふ帰り花とや輪違屋

ソワレてふ店の灯ともる小夜時雨