2025年10月の俳句

華凜主宰の俳句

まなむすめ

蓮開くウブドの朝の光抱き

火を渡るケチャの漢や夜の秋

稲光獣のごとく海走る

海の神祀る寺院を星月夜

国生みの空乗せふゆる蜻蛉かな

かくり世へ続く道あり法師蝉

はじまりの言の葉美し底紅忌

底紅やまなむすめにもまなむすめ

朝顔にかんばせ寄する塩瀬帯

雑詠 巻頭句

奥駈けといふ下闇の続く道

今城 仂

句評 吉野から熊野への霊験あらたかな下闇の続く修験道が見える。
「奥駈け」といふ厳しい山岳修行を成した作者の清らかな魂の句。 華凜 

雑詠 次巻頭句

睡蓮の水より覚めて宙に咲く

岩田雪枝

句評 睡蓮の咲くようすを、的確にまた観念的に写生された。睡蓮の咲く
池のほとりに立つ作者の心は今此の世と浄土の境に遊んでいるよう。 華凜

誌上句会 特選句

岩田雪枝選

鵜飼果て川と夜風の匂ひして

福本せつこ

下田育子選

何にでもなれる少年雲の峰

古山丈司

古山丈司選

追ひ越して行く人ばかり花むくげ

荒木清枝

有本美砂子選

山上の夏炉に解れゆく五体

久保田まり子