華凜主宰の俳句
まなむすめ
蓮開くウブドの朝の光抱き
火を渡るケチャの漢や夜の秋
稲光獣のごとく海走る
海の神祀る寺院を星月夜
国生みの空乗せふゆる蜻蛉かな
かくり世へ続く道あり法師蝉
はじまりの言の葉美し底紅忌
底紅やまなむすめにもまなむすめ
朝顔にかんばせ寄する塩瀬帯

雑詠 巻頭句
奥駈けといふ下闇の続く道
今城 仂
句評 吉野から熊野への霊験あらたかな下闇の続く修験道が見える。
「奥駈け」といふ厳しい山岳修行を成した作者の清らかな魂の句。 華凜
雑詠 次巻頭句
睡蓮の水より覚めて宙に咲く
岩田雪枝
句評 睡蓮の咲くようすを、的確にまた観念的に写生された。睡蓮の咲く
池のほとりに立つ作者の心は今此の世と浄土の境に遊んでいるよう。 華凜
誌上句会 特選句
岩田雪枝選
鵜飼果て川と夜風の匂ひして
福本せつこ
下田育子選
何にでもなれる少年雲の峰
古山丈司
古山丈司選
追ひ越して行く人ばかり花むくげ
荒木清枝
有本美砂子選
山上の夏炉に解れゆく五体
久保田まり子
