華凜主宰の俳句
命名
春待つや臨月の娘は髪切つて
梅早し日矢射すところ兆あり
令和五年二月七日 初孫誕生
産声に開きて今朝の梅真白
素数の日選りて二月に生れたる
新生児指まだ解かず蕗の薹
命名の墨黒黒と梅真白
草萌えてふくふくしたる埴輪かな
おはじきもおじやみも卓に雛の間
雛飾り嫁して娘のをらぬ家
雑詠 巻頭句
滝凍る月に青さを貰ひつつ
今城 仂
句評 鋭い感性の写生句。その美しい景に一瞬で心を奪われた。真っ白な
滝の水が夜になり青さを宿しつつ凍ててゆく。「月に青さを貰ひつつ」の
措辞にしびれた。 華凜
雑詠 次巻頭句
紙を漉く吉野の水は痛かりし
今井勝子
句評 一読、国栖の里へ紙漉きを見に行った日の記憶が甦った。吉野は
清らかな水の里。その寒の水を使った紙漉きは清らかであるが故に冷たく
手に痛い。「痛かりし」に全てを記し見事。 華凜
誌上句会 特選句
和田華凜主宰選
読初は待ちに待つたり諷詠誌
立花綾子
中谷まもる副主宰選
グランドに残る足あと日脚伸ぶ
足達晃子
金田志津枝選
これよりの余生いとほし冬すみれ
森本昭代
柳生清秀選
三枚の肩たたき券お年玉
古宮喜美