2023年4月の俳句

華凜主宰の俳句

命名

春待つや臨月の娘は髪切つて

梅早し日矢射すところ兆あり

  令和五年二月七日 初孫誕生

産声に開きて今朝の梅真白

素数の日選りて二月に生れたる

新生児指まだ解かず蕗の薹

命名の墨黒黒と梅真白

草萌えてふくふくしたる埴輪かな

おはじきもおじやみも卓に雛の間

雛飾り嫁して娘のをらぬ家

雑詠 巻頭句

滝凍る月に青さを貰ひつつ

今城 仂

句評 鋭い感性の写生句。その美しい景に一瞬で心を奪われた。真っ白な
滝の水が夜になり青さを宿しつつ凍ててゆく。「月に青さを貰ひつつ」の
措辞にしびれた。 華凜 

雑詠 次巻頭句

紙を漉く吉野の水は痛かりし

今井勝子

句評 一読、国栖の里へ紙漉きを見に行った日の記憶が甦った。吉野は
清らかな水の里。その寒の水を使った紙漉きは清らかであるが故に冷たく
手に痛い。「痛かりし」に全てを記し見事。 華凜

誌上句会 特選句

和田華凜主宰選

読初は待ちに待つたり諷詠誌

立花綾子

中谷まもる副主宰選

グランドに残る足あと日脚伸ぶ

足達晃子

金田志津枝選

これよりの余生いとほし冬すみれ

森本昭代

柳生清秀選

三枚の肩たたき券お年玉

古宮喜美