華凜主宰の俳句
女絵師
朝顔や置屋の物を干すところ
新町に秋の風鈴一つ鳴る
指先の細きが母似梨をむく
百日の半ばの色に百日紅
法師蝉長き戒名書き終へて
花木槿左より描く朝の眉
秋の蝶ゆらりと消えて女絵師
掬へずに一匹もらふ金魚かな
稲びかり膝に猫おきこひのうた
雑詠 巻頭句
居並べる俳士涼しや虚子門下
柳生清秀
句評 句座にあった虚子記念文学館発行の冊子に写真があり、虚子を
真中に素十・青畝・草城・・十数名の虚子門下がまさに涼しく居並んで
いた。その中に若き日の夜半を見つけた。 華凜
雑詠 次巻頭句
底紅の咲き継ぐ力諷詠も
小田恭一
句評 木槿の花を「底紅」と詠み、季語となったのは夜半の句からと聞く。
白い花片の底の紅から力が湧いてくる。一日花であるが毎日咲き継ぐさまに
諷詠四代の力を重ねた作者。 華凜
誌上句会 特選句
和田華凜主宰選
風鈴や影も色づく石畳
谷本義明
中谷まもる副主宰選
遠き日の私に戻る桑いちご
古山丈司
金田志津枝選
底紅忌昭和の薄き諷詠誌
福沢サカエ
柳生清秀選
北斎のジャパンブルーの涼しさよ
小田恭一