華凜主宰の俳句
揺れなば風情
新涼やまだかほもたぬこけしたち
上州の青き山河や蕎麦の花
頁より抜け来しやうな秋の蝶
秋扇をんなあるじも板につき
仔細あり五条にたたむ秋日傘
水の秋膝に琵琶抱く弁財天
揺れて興揺れなば風情秋の草
いのち美し蚊帳鬼灯の軽さにも
足首の濡るるも萩の露になら
雑詠 巻頭句
本能寺の先に用あり暮の夏
下橋潤子
句評 俳諧の持つ謎解の面白さがある。「本能寺の先」にある用とは。
「本能寺の変」の史実もよぎり深みのある一句となった。「暮の夏」が
絶妙。 華凜
雑詠 次巻頭句
地蔵盆上七軒へぬける路地
青山夏実
句評 京の花街である上七軒へぬける路地の「地蔵盆」を詠まれた。固有
名詞の引き出す情感豊かな景が見える。子供の姿と共に京町屋や舞妓、
芸妓の姿まで浮ぶよう。 華凜
誌上句会 特選句
和田華凜主宰選
風の盆悲しい恋をしたくなる
下田育子
中谷まもる副主宰選
夏草を引きつつ思ふ山羊飼ふか
奥村芳弘
金田志津枝選
新涼や眉すつきりと描き上がる
今井勝子
柳生清秀選
ワレモノと大書き祖父の西瓜便
奥村芳弘