近詠

山形惇子

しまなみの橋

なつかしきしまなみの橋冬ぬくし

たのしかり行く先々の小六月

思ひ出を辿れば釣瓶落しかな

ドックには大型船や秋落暉

お手植の松色変へずよき姿

故郷に別るる菊に水差して

もう一度訪ふ約束や後の月

菅 恵子

利休好み

茶の花を一輪活けて足りてをり

口切や迎へる白湯の無垢なりし

口切や手前帛紗の朱で清め

香を聞いてゐる日本間の外時雨

床の間に照葉をそへて炉を開く

初時雨忍者のごとく忍び寄る

石蕗の花利休好みの色に咲く