2025年12月の俳句

華凜主宰の俳句

福音書

十六夜やしづかに開く福音書

秋水にととのつてゆく命かな

手鏡に空を映して野紺菊

愛猫の骨壺小さし草紅葉

夢書けば叶ふ夜長の萩の筆

深秋や大和に長き地獄絵図

一条に百鬼夜行の紅葉かな

鏡には映らぬ心十三夜

橋に逢ひ橋に別るる近松忌

雑詠 巻頭句

銀漢を渡る星座となりし鳥

中谷まもる

句評 美しい句から美しい夜空が広がる。天の川の中に優雅に白鳥座が
羽搏くように輝いているのを見つけ、ギリシャ神話に思いを馳せる作者。
華凜 

雑詠 次巻頭句

仮の世を生きて白露の風の音

吉田るり

句評 「白露」という二十四節気の季節感を存分に内包し、心を打つ句と
なった。「仮の世」を日々美しく生き抜く作者の自然との存問がここに。
華凜

誌上句会 特選句

古山丈司選

草虱くらい愛してくれないか

太田公子

有本美砂子選

萩刈りて消してしまひぬ風の径

吉田るり

岩田雪枝選

柿一つ見ても子規の句よぎりけり

橋本笙子

下田育子選

「どぶろく」の貼り紙とりて閉店す

下谷和子