同行二人競詠五句 お題「薄暑」

中谷まもる

坊ちゃん湯

「ビヤホール見たい」と書きし子規のこと

あぢさゐの青の途中の阿弥陀仏

百里来て伊予に聞き留むほととぎす

砥部焼の青の涼しきとんぼの絵

百を越す簾ぐるりと坊ちやん湯

金田志津枝

外壕通

師を祝ぐと外壕通ゆく薄暑

街薄暑若さは歩巾より溢れ

野草踏み行きて薄暑の香の立ちぬ

靴濡らし沢渡りゆく薄暑かな

君と会ひ別れし小石川薄暑