華凜主宰の俳句
福音書
十六夜やしづかに開く福音書
秋水にととのつてゆく命かな
手鏡に空を映して野紺菊
愛猫の骨壺小さし草紅葉
夢書けば叶ふ夜長の萩の筆
深秋や大和に長き地獄絵図
一条に百鬼夜行の紅葉かな
鏡には映らぬ心十三夜
橋に逢ひ橋に別るる近松忌

雑詠 巻頭句
銀漢を渡る星座となりし鳥
中谷まもる
句評 美しい句から美しい夜空が広がる。天の川の中に優雅に白鳥座が
羽搏くように輝いているのを見つけ、ギリシャ神話に思いを馳せる作者。
華凜
雑詠 次巻頭句
仮の世を生きて白露の風の音
吉田るり
句評 「白露」という二十四節気の季節感を存分に内包し、心を打つ句と
なった。「仮の世」を日々美しく生き抜く作者の自然との存問がここに。
華凜
誌上句会 特選句
古山丈司選
草虱くらい愛してくれないか
太田公子
有本美砂子選
萩刈りて消してしまひぬ風の径
吉田るり
岩田雪枝選
柿一つ見ても子規の句よぎりけり
橋本笙子
下田育子選
「どぶろく」の貼り紙とりて閉店す
下谷和子
