近詠

今井勝子

十月桜

一人去り一人訪うて萩の寺

小さき門やつと越えたる秋の蝶

青空に浮かぶ十月桜かな

山の辺は三叉路多し秋の風

秋の声神将の燭ほのと揺れ

み仏の半眼の先萩の花

白豪寺拾ふ家苞椿の実

田村節子

恋の歌碑

訪ね来て藤原京は花野中

色変へぬ松の中なる恋の歌碑

格子戸の美しき町秋簾

東いせ北はよしのよ草の花

添水鳴るたびぬばたまの旅の宿

まほろばに古社寺のあまた破蓮

ここにある天岩戸や初もみぢ