華凜主宰の俳句
花の雨
ものの芽や一日一句詠む暮し
男の息おく桃色の風船に
ひとしきり吉野に銀の花の雨
春蘭や静御前の潜居の間
船渡御のごとく行き交ふ花見舟
寄席拍子にも花揺れて花揺れて
花疲開きしままの電子辞書
花の雨エンドロールの続きふと
四月二十三日 比奈夫誕生日
師在せば百と四つや亀の鳴く
雑詠 巻頭句
寄り添うて連理の梅となる月日
山形惇子
句評 大和には「連理の梅」と呼ばれる紅白の梅があるらしい。このお句は作者の人生そのもの。
夫婦が寄り添い歩む月日を連理の梅に託し、心打つ一句となった。華凜
雑詠 次巻頭句
下を向く椿に落ちる覚悟かな
太田公子
句評 誠に潔よい詠みっぷりである。句会場の席題の机上の椿は下を向いていた。
その様子を作者は「落ちる覚悟」という措辞をもって賛美した。正に花鳥諷詠の心。華凜
誌上句会 特選句
和田華凜主宰選
春立つや紫淡き秀句選
藁科稔子
中谷まもる副主宰選
春風や映画と坂と猫の町
下田育子
金田志津枝選
春の雲「おうい」と呼びし暮鳥の詩
山田純子
柳生清秀選
春風に弾む子の声合格す
石川かずこ