華凜主宰の俳句
薪能
草笛にあの日の風の記憶かな
立ち姿よき芍薬もそのひとも
興福寺 薪能
薪能一差ごとに闇進む
後シテの般若現る青葉冷
番傘の内にぼうたん明りかな
松風に乾きし須磨の蛇の衣
触れてみて少し悔あり蛇の衣
鉄線花湯屋の小窓の夕明り
雨の日は文書く心額の花
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雑詠 巻頭句
立てて弾く二胡の調べや柳の芽
中谷まもる
句評 二胡は中国の伝統的な擦弦楽器。その調べは郷愁と癒しを誘う。
この句から二胡の調べが風に乗って聞えたよう。曲は「蘇州夜曲」か。
「立てて弾く」と詠み「柳の芽」との取り合わせも上手い。 華凜
雑詠 次巻頭句
暮の春九百号の稿仕舞ひ
太田公子
句評 作者は「諷詠」の割付けから最終校正まで全てに関わり、原稿も
彼女の自宅に届く。九百号に力を尽して下さった。「稿仕舞ひ」の安堵感が
伝わる。心より感謝。 華凜
誌上句会 特選句
和田華凜主宰選
台本の無き人生や花は葉に
林 右華
中谷まもる副主宰選
思ひ出の中の桜は散らざりし
吉田るり
金田志津枝選
立子賞受賞の余韻虚子忌かな
石川かずこ
柳生清秀選
若葉風マスクはづして深呼吸
浅野宏子