近詠

中谷まもる

傀儡

天秤に二人運びの傀儡箱

日向ぼこして江戸の庄屋の気分

山茶花の散るや越前竹人形

鷽替へて天満宮に迷ひけり

猫と庄造と二匹の赤なまこ

寒禽の雨に唄ひて平群町

傀儡の神事に届く遠太鼓

永嶋千恵子

歴史の残る町

松過の行き交ふ人の力満つ

氏子会御慶高らか申しけり

火掻棒仁王のごとくどんど守る

とんど焼村の歴史の残る町

鎮守社の絆を誇るどんどかな

とんど焚終を見守る氏子会

水神の水もてとんど納めらる