華凜主宰の俳句
百日紅
その中に生も死もあり百日紅
人偲ぶ風の来てをり風蘭に
桃すする女見てゐる男かな
妻ありて花魁草に触れもして
合歓の花風を孕みて眠るころ
七月十八日姫孫誕生
夏の月指美しき娘に生まれ
甚平着て一才にして兄となる
ひぐらしやまだかろき子を抱き上げて
街の灯は一つづつ消え盆の月
雑詠 巻頭句
蛍忌の蛍の描く黄の世界
中谷まもる
句評 先師立夫への存問の句。六月二十六日の蛍忌に絵を描くこと、
黄の好きだった立夫を偲ぶ作者。蛍の光は黄泉の世界へと誘うよう。
華凜
雑詠 次巻頭句
晴れてゐる水の世界の水中花
下橋潤子
句評 俳句は物を見た時の作者の心が言葉を選び、一句となる。「晴れて
ゐる水の世界」の措辞に明るい作者の心と水中花の世界を見た。 華凜
誌上句会 特選句
和田華凜主宰選
男こそ泣けることあり雲の峰
古山丈司
中谷まもる副主宰選
仏壇の父と目の合ふ冷奴
古山丈司
金田志津枝選
ふるさとの賢治の銀河浴び涼し
川上康子
柳生清秀選
時の日や駄菓子屋に鳴る鳩時計
下田育子