2024年9月の俳句

華凜主宰の俳句

百日紅

その中に生も死もあり百日紅

人偲ぶ風の来てをり風蘭に

桃すする女見てゐる男かな

妻ありて花魁草に触れもして

合歓の花風を孕みて眠るころ

 七月十八日姫孫誕生

夏の月指美しき娘に生まれ

甚平着て一才にして兄となる

ひぐらしやまだかろき子を抱き上げて

街の灯は一つづつ消え盆の月

雑詠 巻頭句

蛍忌の蛍の描く黄の世界

中谷まもる

句評 先師立夫への存問の句。六月二十六日の蛍忌に絵を描くこと、
黄の好きだった立夫を偲ぶ作者。蛍の光は黄泉の世界へと誘うよう。
華凜 

雑詠 次巻頭句

晴れてゐる水の世界の水中花

下橋潤子

句評 俳句は物を見た時の作者の心が言葉を選び、一句となる。「晴れて
ゐる水の世界」の措辞に明るい作者の心と水中花の世界を見た。 華凜

誌上句会 特選句

和田華凜主宰選

男こそ泣けることあり雲の峰

古山丈司

中谷まもる副主宰選

仏壇の父と目の合ふ冷奴

古山丈司

金田志津枝選

ふるさとの賢治の銀河浴び涼し

川上康子

柳生清秀選

時の日や駄菓子屋に鳴る鳩時計

下田育子