近詠

梅野史矩子

一献の新走

一献の白磁に透けて新走

指先で遊ぶ他なき秋扇

鶏頭の朱と一つになる夕日

星屑の相寄るところ天の川

葉がくれに来て色鳥の華となる

秋声や物の気配にふり返る

柳川は水の匂と麦の秋

青山夏実

月の供華

露の絵馬願ひ叶ふも叶はぬも

母の忌や前も後ろも赤とんぼ

ひたひたと船溜まで鯊の潮

突堤に竿竿竿や鯊日和

艫綱の飛びくる月の小桟橋

信楽にどかと挿されて月の供華

手につつむ武蔵野茶碗秋の声