2025年11月の俳句

華凜主宰の俳句

秋の海

竜胆や御前てふ名の女たち

潮待ちの港に別れ蛍草

継紙の波は銀箔秋の海

秋澄みぬこの世に母がゐるだけで

群れ咲いて読経のうねり曼珠沙華

実柘榴や未完の愛といふかたち

秋風の中の三十三間堂

鰯雲異形も二十八部衆

月今宵千手千眼観世音

雑詠 巻頭句

手花火を始める闇をつくりたる

金田志津枝

句評 手花火のための闇は、ただ明りを消して作るのではなく、少し
切なく静かな心が作るもののようにこの句からは感じられた。
今は亡き人と逢うための時間のようにも。 華凜 

雑詠 次巻頭句

一湾やイージス艦と盆の舟

中谷まもる

句評 どこの湾であろうか。海上自衛隊の巨大戦艦イージス艦と盆の
舟の取り合わせは俳句の世界でも見たことがない。大小、強弱の大胆な
対比に感服。 華凜

誌上句会 特選句

下田育子選

声変りして新米を美味いと言ふ

浅野宏子

古山丈司選

花木槿棚の二冊の幸福論

三ツ石遥人

有本美砂子選

防人の西へと急ぐ秋茜

吉田るり

岩田雪枝選

黙祷にふたたび蝉の鳴き始む

青山夏実