華凜主宰の俳句
月の秋
秋簾内緒話の京ことば
約束のしるしげんまん吾亦紅
月の秋女と書きてひとと読み
八千草の遊ぶ背山に妹山に
柝の入りて海に上るやけふの月
喜界ケ島「平家女護島 俊寛」
俊寛の流刑伝説月の舟
別れの場裾を濡して月の波
流木にいま月光の届きたる
日に古色夕に古色や雁渡る
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雑詠 巻頭句
四代目主宰は女流底紅忌
下橋潤子
句評 この度「底紅忌」が角川新歳時記にて新規立項季語となったことを受け、
祝句として詠まれた句と思う。曽祖父夜半の時代から四代の主宰のもと、諷詠にて
俳句の道をまっ直ぐ歩む作者に感謝。また「女流」と「底紅」に伝統を感じる。華凜
雑詠 次巻頭句
ふるさとの利根よ筑波よ青田よと
金田志津枝
句評 望郷の心が溢れ出す。「利根よ筑波よ青田よ」とのリフレインが読み手の心を
打つ。俳句は詩である。この句を読み下ろすと、美しい青田と山河の景が目の前に
情感を持って広がる。 華凜
誌上句会 特選句
和田華凜主宰選
吾の小指はなさぬ赤子秋日和
桧尾朋子
中谷まもる副主宰選
四つ辻は風の結び目赤とんぼ
黒田泰子
金田志津枝選
少年の石捨て帰る晩夏光
古山丈司
柳生清秀選
背戸誰も出這入り自由花カンナ
佐々木きぬ子