2021年11月の俳句

華凜主宰の俳句

月の秋

秋簾内緒話の京ことば

約束のしるしげんまん吾亦紅

月の秋女と書きてひとと読み

八千草の遊ぶ背山に妹山に

柝の入りて海に上るやけふの月

   喜界ケ島「平家女護島 俊寛」

俊寛の流刑伝説月の舟

別れの場裾を濡して月の波

流木にいま月光の届きたる

日に古色夕に古色や雁渡る

雑詠 巻頭句

四代目主宰は女流底紅忌

下橋潤子

句評 この度「底紅忌」が角川新歳時記にて新規立項季語となったことを受け、
祝句として詠まれた句と思う。曽祖父夜半の時代から四代の主宰のもと、諷詠にて
俳句の道をまっ直ぐ歩む作者に感謝。また「女流」と「底紅」に伝統を感じる。華凜 

雑詠 次巻頭句

ふるさとの利根よ筑波よ青田よと

金田志津枝

句評 望郷の心が溢れ出す。「利根よ筑波よ青田よ」とのリフレインが読み手の心を
打つ。俳句は詩である。この句を読み下ろすと、美しい青田と山河の景が目の前に
情感を持って広がる。 華凜

誌上句会 特選句

和田華凜主宰選

吾の小指はなさぬ赤子秋日和

桧尾朋子

中谷まもる副主宰選

四つ辻は風の結び目赤とんぼ

黒田泰子

金田志津枝選

少年の石捨て帰る晩夏光

古山丈司

柳生清秀選

背戸誰も出這入り自由花カンナ

佐々木きぬ子