2022年1月の俳句

華凜主宰の俳句

恋のうた

冬瀧の白し初心の真白しと

朴落葉天上高き飛騨の宿

口切の正客にして江戸小紋

ももいろの羊羹うすく切る小春

松浦屏風に恋のうた詠む遊女かな

羽子板市隈取見事成駒屋

翁面外し庵の煤払

浄瑠璃の町の橋より都鳥

道ならぬ道も道なり近松忌

雑詠 巻頭句

船の名の読めて良夜の船溜

青山夏美

句評 十五夜の客観写生句である。作者はいつもは暗い船溜の船が月光に
照らされ、船の名が鮮明に見え読めたと言う。衒いのない措辞で月夜の
静かな美を表現。これが物の姿を描き、物の命にふれるということ。 華凜 

雑詠 次巻頭句

裏通りとは木犀の本通り

今城 仂

句評 子供の頃、裏通りを抜けピアノの教室へ通う時木犀の香が流れて
来た記憶が甦った。裏通りは確かに木犀にとっての「本通り」。見事な
発見に共感の句。 華凜

誌上句会 特選句

和田華凜主宰選

大花野まつただ中に鐘を聞く

黒田泰子

中谷まもる副主宰選

一粒を一語と思ふ実むらさき

岡本和子

金田志津枝選

日々変る懸崖菊の真正面

大西芙紗子

柳生清秀選

秋の暮杣の子家路急ぎけり

立花綾子