同行二人競詠五句 お題「露」

市川元庸

露の世

露草の今朝の名残の秘めてをり

露草の紫源氏好みかと

露の世のちちよと鳴きし虫のこと

虫の音の夜露にいよよ澄みにけり

露の世と言へど一隅照らしたし

寺西 圭

彼の人に

露の世や師の帽子手に思ひ出も

句と骨を残し露の世旅立たる

襟足の露けき頃となつて来し

露分けてこの道ゆけば彼の人に

衣に手を通して露の野道行く