同行二人競詠五句 お題「秋扇」

髙木利夫

晩節

晩年や仕合せほどの葱植ゑて

小津安二郎風の小春を授かりし

晩節を全うしたる秋扇

人知れず散る沙羅の花とはゆかし

花ミモザ人哀しますやう烟る

髙木きみ子

冬用意

風に増ゆあきつの空となりにけり

編み上げしセーター今日の空の色

隠しごとなくて夫婦の温め酒

祝ぎことも悼みしことも秋扇

柔らかき日差しの中の冬用意