華凜主宰の俳句
釣瓶鮓
下市村入れば薫風見得を切る
権太の墓訪ふ菩提樹の花の頃
やはき文字屋号は弥助麻暖簾
歪みたる昭和の硝子鮎の宿
山躑躅遊女のごとく眺めやる
老鶯の見せ場心得役者ぶり
五十代続く老舗の蜘蛛ならむ
世の善悪一旦おきて釣瓶鮓
しつらひに吉野葛もて鮎の膳
雑詠 巻頭句
夜桜能開幕までは花めぐり
喜多真王
句評 作者は夜半の兄弟が宗家である喜多流能の文献を著し世に残す事に
尽力されている。毎年行かれる靖国神社の夜桜能を詠まれた。「開幕まで」の
時間も「花めぐり」とは花に贅な一日。夜桜能は幽玄の極み。華凜
雑詠 次巻頭句
花見船西の丸にて折返す
山田東海子
句評 この句どこの「花見船」かは詠まれていないが「西の丸にて」とあるので
関西在住の読者は大阪城のあの御座船であると想像できるであろう。
太閤の城に満開の桜絵巻の見事な景が目の前に現れる。華凜
誌上句会 特選句
和田華凜主宰選
古里のうどんやはらか祭笛
古山丈司
中谷まもる副主宰選
簡単に「落ちた」とメール大試験
梅田咲子
金田志津枝選
花筏ゆるりゆるりと風を乗せ
桧尾朋子
柳生清秀選
登山地図始発四人の膝の上
菅原和博