近詠 下田育子 ねねの道 茅の輪潜りて師の句碑を訪ねけり 通称のねねの道なり花木槿 水の打ち方も中村楼なりし 落し水竹久夢二寓居跡 夫婦箸買ふ釣葱吊る店に 色街や昼を涼しく灯しをり 鍵善の葛切に終ふ京の旅 山形陽彦 夏芝居 見得を切る血染の衣裳夏芝居 殺し場も所作は優雅に夏芝居 壱太郎のお紺涼しき伊勢音頭 見所は祭に喧嘩夏芝居 松嶋屋三代涼し揃ひ踏み かぶりつきは空席指定汗も飛ぶ 羅の粋筋二人桟敷席